RESASとは? できること・できないことと「次の一手」をやさしく解説
- 3 日前
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地域経済を調べようとすると、まず名前が挙がるのが RESAS(リーサス) です。無料で、しかも豊富なデータを地図やグラフで見られる——地域づくりに関わる人にとって、いまや定番の入口になりました。
けれど、実際に触ってみると「たくさんデータは見られた。でも、結局うちのまちは何をすればいいの?」と立ち止まる方も少なくありません。
この記事では、RESASとは何かをやさしく整理したうえで、できること・できないこと(限界)、そして「その先の次の一手」までを、網羅的にお伝えします。
この記事でわかること
RESAS(地域経済分析システム)とは何か、誰が・いつから提供しているか
RESASでできること(主要マップと「地域経済循環マップ」の見方)
RESASの基本的な使い方(3ステップ)
RESASでできないこと(限界・デメリット)
RESASと「自分のまちの産業連関表」の違い(比較表)
RESASを根拠ある政策(EBPM)につなげる方法

RESASとは? ― 国が提供する無料の地域経済分析システム
RESAS(Regional Economy and Society Analyzing System/地域経済分析システム)は、国(内閣官房・経済産業省が中心)が提供する、地域の経済や人口などのビッグデータを、地図やグラフで誰でも見られる無料のシステムです。2015年に、地方創生の取り組みを後押しする目的で公開されました。
それまで、地域経済のデータは各種統計に散らばっていて、専門家でなければ扱うのが難しいものでした。RESASは、それらをひとつの画面で・視覚的に見られるようにし、自治体職員・議員・事業者・研究者・学生まで、幅広い人が地域を語るための「共通の土台」を作りました。
※ 提供体制やメニューは国の方針で更新されることがあります。最新情報はRESAS公式サイトをご確認ください。
RESASでできること ― 地域の「全体像」をつかむ
RESASが得意なのは、全国共通のデータで地域の"全体像"をつかむことです。主に次のような分野(マップ)が用意されています。
人口マップ:人口の推移・将来推計・転入転出など
産業構造マップ:どの産業が盛んか、強い産業(特化係数)はどれか
企業活動マップ:企業の分布や取引の動き
消費マップ:消費の傾向
観光マップ:人流や宿泊などの観光の動き
地域経済循環マップ:後述
これらにより、「自分のまちはどんな構造で、何が強くて、人口はどう動くのか」といった傾向を素早くつかむことができます。さらに、他の自治体と横並びで比較できるのも大きな利点です。
注目:「地域経済循環マップ」で循環率を見る
RESASの中でも、地域経済の議論でよく使われるのが地域経済循環マップです。ここでは、地域のお金が「生産(稼ぐ)→分配(所得)→支出(使う)」とどう巡っているかや、地域経済循環率を見られます。
地域経済循環率は、ざっくり言えば「地域の中でお金がどれだけ循環しているか」を示す指標で、地域の自立度を測る目安になります。「うちのまちは、お金が外に頼りがちなのか」を考える出発点として、とても有用です。
RESASの使い方(3ステップ)
初めてでも、次の手順で十分に活用できます。
RESAS公式サイトにアクセスする(基本機能は登録なしで利用可能)
自分の都道府県・市区町村を選ぶ
見たいマップ(人口・産業構造・地域経済循環など)を開く
まずは「人口マップ」で将来推計を、「地域経済循環マップ」で循環率を眺めてみると、自分のまちの立ち位置が見えてきます。
RESASの活用が向いている場面
総合計画や地方創生の計画づくりで、現状の傾向を把握したいとき
議会や住民への説明で、分かりやすいグラフや地図がほしいとき
他の自治体と比較して立ち位置を知りたいとき
庁内や学校で、地域経済を学ぶ最初の教材として
RESASでできないこと(限界・デメリット) ― ここが最重要
便利なRESASですが、構造上の限界もあります。これは欠点というより、役割の違いとして理解するのが大切です。
全国共通の"推計値"が中心:全国一律のルールで作られているため、自分のまち固有の実態(個々の事業者の取引・調達先)までは映しにくい
「お金の漏れ」の"中身"までは分からない:地域経済循環マップで循環率という結果は見えても、「どの産業の・どの取引で・どれだけ域外へ漏れているのか」という原因までは特定しづらい
自由なカスタム分析がしにくい:「この産業の、この取引を詳しく」「この施策の波及効果は?」といった掘り下げには向かない
ここが肝心です。原因が分からなければ、打ち手は決められません。 循環率が低いと分かっても、「で、どこを直せばいいのか」が見えないと、政策には落ちないのです。
【比較】RESAS と「自分のまちの産業連関表」
その"原因"まで踏み込めるのが、事業者調査に基づく地域単位の産業連関表です。両者は競合ではなく、役割が違うと捉えてください。
観点 | RESAS | 自分のまちの産業連関表(実態調査) |
データの作り方 | 全国共通ルールの推計 | 経済センサス+事業者アンケートで実態に近い |
主に見えるもの | 全体像・循環率(=結果) | 個別の取引・お金の漏れ(=原因) |
漏れの特定 | 苦手 | 得意(漏れ穴分析) |
カスタム分析 | 限定的 | 自由(波及効果・将来シナリオ等) |
コスト | 無料 | 調査が必要(投資) |
役割 | 入口・概観 | 深掘り・政策の根拠 |
注意:産業連関表にも「案分推計」(県・国の数字を割り振っただけのもの)があり、それだとRESASと同じ限界を抱えます。施策の根拠にするなら、事業者調査に基づく実態に近い表が重要です。
RESASを「根拠ある政策(EBPM)」につなげる
RESASで全体像をつかみ、産業連関表で足元の実態(漏れの原因)を測る——この二段構えが、根拠に基づく地域づくり(EBPM)の王道です。
ステップ1:RESASで現状の傾向・循環率を把握する(無料・すぐできる)
ステップ2:事業者調査に基づく産業連関表で、漏れの大きい品目・取引を特定する
ステップ3:漏れの大きいところから打ち手を決め、効果を振り返る
(※ EBPM=根拠に基づく政策立案については別記事で解説しています → [記事①EBPMへ内部リンク]/観光分野は → [記事②観光×EBPMへ内部リンク])
よくある質問(FAQ)
Q. RESASとは何の略ですか?A. Regional Economy and Society Analyzing System の略で、日本語では「地域経済分析システム」です。
Q. RESASは誰が提供していますか? 無料ですか?A. 国(内閣官房・経済産業省が中心)が提供しており、基本機能は無料で利用できます。
Q. RESASで何がわかりますか?A. 人口・産業構造・企業活動・消費・観光・地域経済循環などを、地図やグラフで概観できます。地域の"全体像"の把握に向いています。
Q. RESASのデメリット(できないこと)は?A. 全国共通の推計が中心のため、自分のまち固有の取引や「お金の漏れ」の中身までは特定しづらく、自由なカスタム分析にも向きません。
Q. RESASとV-RESASの違いは?A. RESASは地域経済の構造を見るシステム、V-RESASは経済の足元の変化(消費・人流などの動向)をより速報的に見るためのものとして整理されています。
まとめ
RESASは地域の"全体像"を無料で見られる優れた入口
「地域経済循環マップ」で循環率(結果)も見られる
ただし**「お金の漏れの原因」までは見えにくい**のが限界
次の一手は、事業者調査に基づく自分のまちの産業連関表(原因の特定)
全体像(RESAS)+足元の実態(産業連関表)で、根拠ある政策へ
まず「体験」から ― あなたのまちの"漏れ"を見る
私たちが提供する IREAM(対話型地域経済分析モデル)の体験版では、地域に入ったお金が「どれだけ残り・どれだけ漏れるか(漏れバケツ)」を、ブラウザでそのまま触って確かめられます。RESASの先にある世界を、まずは体感してみてください。
「RESASは見たけれど、次に何をすれば?」——そんなご相談も歓迎です。全国の自治体で産業連関表を作成してきた専門家が伴走します。
執筆者
株式会社Green Guardian — 代表は産業連関表の研究で博士号(環境情報学)を取得し、下川町・南小国町・気仙沼市・陸前高田市・宝達志水町・白馬村・美瑛町・宮古島市など全国で地域の産業連関表を作成。サステナビリティの第一人者・枝廣淳子氏(有限会社イーズ)と連携し、岩波新書『地元経済を創りなおす』などで紹介された手法を、実務で形にしています。





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