経済波及効果とは? 計算方法と「数字の読み方」をわかりやすく解説
- 24 時間前
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「このイベントには、◯◯◯億円の経済波及効果があります」——ニュースやまちの広報で、こんな言葉を見たことはありませんか。
なんとなく「経済にいいことがあったんだな」とは伝わりますが、その数字が何を意味しているのか、どうやって出したのかは、意外と知られていません。
この記事では、経済波及効果とは何かを、専門知識がなくても分かるように解説し、計算方法の考え方、そして数字を読むときの大切な注意点までをお伝えします。
この記事でわかること
経済波及効果とは何か(一言でいうと)
効果が広がるしくみ(直接効果・一次波及・二次波及)
計算方法の考え方(産業連関表と「乗数」)
数字を読むときの注意点(過大に見せないために)
自治体での活かし方

経済波及効果とは? ― お金が「波紋のように」広がる効果
経済波及効果とは、ある需要(お金を使う動き)が生まれたときに、それが連鎖して地域全体に生み出す経済的な効果の合計のことです。
池に石を投げると、波紋が広がっていきますよね。経済も同じで、最初の支出を「石」とすると、そこから波紋のように効果が広がっていきます。
たとえば、あるまちで大きなイベントが開かれたとします。
来場者が会場や飲食・宿泊にお金を使う(最初の支出)
お店が、仕入れや人件費にお金を使う
仕入れ先が、さらに材料を仕入れる…
このように、最初の支出が次々と新しい支出を呼び、地域全体で見ると、最初の金額よりも大きな効果になります。これが経済波及効果です。
効果が広がるしくみ ― 3つの段階
経済波及効果は、ふつう次の3段階に分けて考えます。
① 直接効果:最初に生まれた需要そのもの(例:イベント来場者が使った金額)
② 一次波及効果:その需要に応えるための、仕入れ・取引の連鎖で生まれる効果
③ 二次波及効果:①②で働いた人の所得が増え、その人たちが消費することで生まれる効果
合計すると「直接効果」よりも大きくなります。「最初の支出の何倍になったか」を示すのが、後で出てくる「乗数(じょうすう)」です。
ポイント:二次波及効果は"参考"として扱うのが安全です。所得の何割が地域内で消費されるかなど、前提の置き方で数字が大きく動くため、私たちは二次波及を主役にせず、参考値として併記します。
計算方法の考え方 ― 産業連関表と「乗数」
「何倍に広がるか」を計算する土台になるのが、 産業連関表 です。
産業連関表には「どの産業が、どの産業から、いくら仕入れているか」が整理されています。これを使うと、「最初の1の支出が、連鎖して全体でいくつになるか」という**倍率(乗数)**を計算できます。
おおまかには、こんな流れです。
最初の需要を決める(例:観光消費◯億円、事業費◯億円)
その需要を、産業ごとに振り分ける(どの産業にお金が入るか)
産業連関表から計算した乗数をかけて、波及の合計を出す
むずかしい行列計算が必要ですが、結果の"倍率"さえ用意できれば、あとは掛け算です。私たちは、地域ごとに事前に計算した係数を使い、画面上ですぐ試算できるようにしています。
数字を読むときの注意点 ― 「盛りすぎない」ために
経済波及効果は、伝え方しだいで実態より大きく見えてしまうことがあります。誠実に使うために、次の点に気をつけてください。
前提を必ず添える:「来場者数◯人、単価◯円と仮定した場合」のように、計算の前提をセットで示す。前提が変われば結果も変わります
断定しない:「◯円の効果が生まれます」と言い切らず、「この前提のもとでは、◯円規模と試算されます」と幅を持って伝える
域外への漏れを忘れない:支出のうち、地域外への仕入れ・消費に回る分は、地域には残りません。"地域に残る分"と"外へ漏れる分"を分けて見るのが大切です
二次波及は参考値:前述のとおり、二次波及効果は参考として扱う
これらは「効果を小さく見せる」ためではなく、あとで「話が違う」と言われないための作法です。議会や住民への説明では、この誠実さが信頼につながります。
自治体での活かし方
経済波及効果は、こんな場面で役立ちます。
施策の検討材料:複数の事業案の規模感を比べ、検討の材料にする
議会・庁内への説明:「この事業には、これくらいの広がりが見込める」という根拠を示す
住民・事業者との対話:数字を共通の土台にして、まちの未来を話し合う
ただし、経済波及効果は優劣や採否を自動的に決めるものではありません。あくまで「規模感を把握し、比較・検討するための材料」として使うのが、正しい付き合い方です。
よくある質問(FAQ)
Q. 経済波及効果とは何ですか? わかりやすく言うと?A. ある支出が連鎖して、地域全体に生み出す経済効果の合計です。池の波紋のように、最初のお金が次々と新しい支出を呼んで広がっていくイメージです。
Q. 経済波及効果はどうやって計算するのですか?A. 産業連関表をもとに、「最初の支出が連鎖して何倍に広がるか」という倍率(乗数)を計算し、最初の需要に掛けて求めます。
Q. 直接効果と波及効果の違いは何ですか?A. 直接効果は最初に生まれた需要そのもの、波及効果はそこから仕入れや所得を通じて連鎖的に生まれる効果です。両者の合計が経済波及効果になります。
Q. 経済波及効果の数字は信頼できますか?A. 前提(来場者数や単価など)の置き方で結果が変わります。前提をセットで示し、幅を持って読むことが大切です。地域の実態に近い産業連関表を使うほど、精度は高まります。
Q. 観光やイベントの経済波及効果も計算できますか?A. はい。観光消費やイベント支出を最初の需要として、地域への波及を試算できます。観光分野については別記事でくわしく解説しています。
まとめ
経済波及効果は、最初の支出が連鎖して広がる効果の合計
直接効果 → 一次波及 → 二次波及(参考値)の3段階で考える
計算の土台は産業連関表。倍率(乗数)を掛けて求める
前提を添えて・断定せず・漏れも見るのが誠実な使い方
優劣を決める道具ではなく、規模感をつかむ「検討の材料」
まず「体験」から ― 数字が広がるしくみを触ってみる
私たちが提供する IREAM(対話型地域経済分析モデル)の体験版は、まさに経済波及効果を画面上で試算できるツールです。観光客数などの前提を入れると、地域への波及、そして「地域に残る分・域外へ漏れる分」が確かめられます。
「自分のまちの事業で試算してみたい」「議会説明に使える形にしたい」——そんなご相談も歓迎です。初回相談(無料)から、専門家が伴走します。
執筆者
株式会社Green Guardian — 代表は産業連関表の研究で博士号(環境情報学)を取得し、下川町・南小国町・気仙沼市・陸前高田市・宝達志水町・白馬村・美瑛町・宮古島市など全国で地域の産業連関表を作成。サステナビリティの第一人者・枝廣淳子氏(有限会社イーズ)と連携し、岩波新書『地元経済を創りなおす』などで紹介された手法を、実務で形にしています。






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