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産業連関表はどこで手に入る? ──全国・都道府県・市区町村の「公開一覧」と探し方ガイド

  • 5 日前
  • 読了時間: 13分


この記事でわかること

  • 産業連関表には「全国表・地域間表・都道府県表・市区町村表」の4つの階層があり、公開主体・更新周期・使いどころが違うこと

  • 全国表(総務省)と47都道府県の表が、いつの年次で・何部門で・どこで公開されているか(一覧つき)

  • 市区町村レベルの独自の表は全国でもごく一部しかなく、なぜ少ないのか

  • e-Statや各県の統計課ページから、自分の地域の表に自力でたどり着く方法

  • 「公開されている表」をそのまま使うときに気をつけたいこと(精度・按分・前提の限界)




全国の産業連関表について
全国の産業連関表について



「産業連関表を見たいのに、どこにあるか分からない」

地域経済を数字で考えようとすると、必ず突き当たるのが産業連関表です。けれど、いざ探そうとすると「国のものなのか、県のものなのか」「最新はいつの年なのか」「自分のまちの表はあるのか」が、意外なほど分かりにくい。各省庁・各県がそれぞれのサイトで個別に公開しているため、横断的に見渡せる場所がほとんどないからです。

この記事は、その「地図」をつくる試みです。全国・地域・都道府県・市区町村という4つの階層ごとに、どこが・いつの年次で・何部門の表を・どのURLで公開しているかを一覧にまとめました。

産業連関表そのものの仕組み(地域内のお金の流れを一枚の表にしたもの)については、産業連関表とはのページでもくわしく説明しています。


産業連関表には「4つの階層」がある

公開されている産業連関表は、対象とする地域の広さで大きく4つに分かれます。広い表ほど整備が手厚く、狭い表ほど数が少なく、作るのが難しくなります。

① 全国表(総務省ほか) — 日本全体の産業構造を表したもの。10府省庁の共同事業として5年ごと(西暦末尾が0・5の年)に作成される、いわば「本家」です。基本分類では400部門を超えます。各県や市町村の表も、この全国表を土台に作られます。

② 地域間表(経済産業省/研究機関) — 全国をブロックに分け、地域どうしの取引まで捉えた表です。作成の負担が大きく、近年は国による作成が止まっています。

③ 都道府県表(各都道府県) — 47すべての都道府県が自県版を公開。多くは5年ごとに更新されますが、最新が2020年の県もあれば2015年が最新の県もあります。実務でいちばんよく使われる階層です。

④ 市区町村表(一部の自治体・研究機関) — 市や町の単位の表。全国でもごく一部しか持っておらず、多くは大学や地方シンクタンクの協力で作られています(理由は後述)。

ここで一つ、実務上の大事な注意点があります。狭い地域の表ほど、より広い表を「按分(あんぶん)」して作られているということです。便利な一方で、その地域が観光特化だったり小規模だったりすると、実態と合わないことがあります。公開された表を使うときは、「どの広さの表を、どんな前提で按分したものか」を意識すると、数字の読み違いを防げます。

県の表を按分した汎用ツールと、地域の実態に合わせて作った表との違いは、経済波及効果の委託のページでも触れています。


① 全国表・地域間表(国・研究機関)

公開主体

区分

対象年次

部門数(主な分類)

リンク

総務省ほか10府省庁

全国表

1955〜2020(5年ごと。最新=2020年)

13・37・108・188部門ほか(基本分類は約400部門超)

経済産業省

地域間表(全国9地域)

〜2005(平成17年表で作成終了)

複数分類(要確認)

経済産業研究所(RIETI)

都道府県間表

2005・2011

複数分類

政府統計の総合窓口

横断検索の入口

全国表・各県表をまとめて検索可

経済産業省の地域間表は平成17年(2005年)表で作成が終了しています。地域間の取引を捉えたデータが必要な場合は、研究所(RIETI)の都道府県間表などが手がかりになります。


② 都道府県の産業連関表(全47都道府県)

47すべての都道府県が自県の産業連関表を公開しています。「対象年次」は、各県のサイトやe-Statで確認できる年次を、できるだけ過去にさかのぼって並べています。最新の公表年次は県によって異なります。

都道府県

公開主体

対象年次(確認できた範囲)

部門数(主な分類)

リンク

北海道

北海道開発局ほか5機関

2000・2005・2011・2015・2020

13・38・64

青森県

総合政策部 統計分析課

2015・2020

15・40・107

岩手県

ふるさと振興部 調査統計課

2005・2009・2011・2013・2015・2020

13ほか(統合大・中分類)

宮城県

企画部 統計課

1955〜2020(5年ごと/延長表含む)

13・37〜38・94〜110

秋田県

企画振興部 調査統計課

2000・2005・2011・2015

15・34〜39・97〜108

山形県

みらい企画創造部 統計企画課

1995・2000・2005・2011・2015・2020

13・32〜39・93〜107

福島県

企画調整部 統計課

1995・2000・2005・2011・2013・2015・2020

13・39〜40・106〜107

茨城県

政策企画部 統計課

1995・2000・2011・2015・2020

13・37・107・184

栃木県

生活文化スポーツ部 統計課

1990・1995・2000・2005・2011・2015・2020

13・37・106・185

群馬県

総務部 統計課

1995・2000・2005・2011・2015・2020

13・34・108

埼玉県

総務部 統計課

1975〜2020(5年ごと)

13・37・106・183

千葉県

総合企画部 統計課

2005・2011・2015・2020

13・37・107・185

東京都

総務局 統計部

1985〜2020(延長表含む)

7・14・統合大/中/小分類

神奈川県

統計センター 企画分析課

1980〜2020(延長表含む)

13・37・108・188

新潟県

総務管理部 統計課

1990・1995・2000・2005・2009・2011・2015・2020

13・37・104〜175

富山県

経営管理部 統計調査課

1975〜2020(5年ごと)

13・37・106・175

石川県

総務部 統計情報室

1995・2000・2005・2010・2015

要確認

福井県

地域戦略部 統計調査課

1990〜2020(5年ごと)

37・97

山梨県

総務部 統計調査課

1995・2000・2005・2010・2015・2020

要確認

長野県

企画振興部 統計室

1985〜2020(5年ごと)

13・37・108・188

岐阜県

環境生活部 統計課

1977〜2020(5年ごと)

13・37・108・188

静岡県

経営管理部 統計活用課

1995〜2020(5年ごと)

37ほか

愛知県

県民文化部 統計課

2005・2011・2015・2020

37・43・108・186

三重県

政策企画部 統計課

1975〜2020(5年ごと)

13・39・42・107・186

滋賀県

総合企画部 統計課

1960年代〜2020

13・37・108

京都府

企画統計課

〜2015(2020は要確認)

要確認

大阪府

総務部 統計課

1985〜2020(延長表含む)

37・107・108

兵庫県

企画部 統計課

1955〜2020(5年ごと)

39・107・186

奈良県

知事公室 政策推進課

1990〜2015(5年ごと)

13・37・100・171

和歌山県

企画政策局 調査統計課

1995・2000・2005・2011・2015・2020

13・37・108・188

鳥取県

令和新時代創造本部 統計課

1995・2000・2005・2011・2015

要確認

島根県

政策企画局 統計調査課

1990〜2011(延長表含む)

要確認

岡山県

総合政策局 統計分析課

2000・2005・2011・2015・2020

13・37・108・188

広島県

総務局 統計課

2000〜2020(延長表含む)

13・45・108

山口県

総合政策部 統計分析課

1995・2000・2005・2011・2015・2020

13・37・108

徳島県

政策創造部 統計データ課

1960〜2015

13・37・107

香川県

政策部 統計調査課

1970〜2020(5年ごと)

13・37・107

愛媛県

企画振興部 統計課

2000・2005・2011・2015・2020

13・39・108・188

高知県

産業振興推進部 統計分析課

1995・2000・2005・2010・2011・2015

要確認

福岡県

企画・地域振興部 調査統計課

1985〜2011(最新=2011年)

13・39・107

佐賀県

政策部 統計分析課

2005・2011・2015

37・107

長崎県

県民生活環境部 統計課

2000・2005・2011・2015

13・40・107

熊本県

企画振興部 統計調査課

1975〜2020(5年ごと)

13・37・105〜107

大分県

企画振興部 統計調査課

1995・2005・2011・2015

15・36・104

宮崎県

総合政策部 統計調査課

1995・2005・2011・2015・2020

13・37・110

鹿児島県

企画部 統計課

2000・2005・2008・2011・2015・2020

15・41・104〜107

沖縄県

企画部 統計課

1995・2000・2005・2011・2015・2020

14・35・基本分類(約458×367)

「対象年次」は各県サイト・e-Statで確認できた範囲です。「5年ごと」は西暦末尾が0・5の年が基準。最新年次は県ごとに差があり、2020年表まで公表済みの県と、2015年(または2011年)が最新の県があります。「要確認」は公開ページ上で確定できなかった項目です。


③ 市区町村の産業連関表(公開を確認できた事例)

市区町村単位の表は、全国でもごく限られた自治体しか公開していません。下の一覧は、独自に作成・公開していることを確認できた事例です(網羅ではありません)。

自治体

都道府県

公開主体

対象年次

部門数

リンク

札幌市

北海道

市(統計・市民経済計算)

要確認

要確認

釧路市

北海道

市 統計担当

2015

50

別海町

北海道

町 商工担当

2011

33

北上市

岩手県

2015相当

要確認

さいたま市

埼玉県

総務局 統計課

2015

13・37・107・187

千葉市

千葉県

総合政策局 統計課

2005・2011・2015

13・37・107・187

横浜市

神奈川県

経済局

2020(ほか過去)

108(掲載分は13)

川崎市

神奈川県

総務企画局

2000・2005・2011・2015・2020

要確認

相模原市

神奈川県

さがみはら都市みらい研究所

2005・2011・2015

52(2005年)

静岡市

静岡県

企画局

2015

37・108

浜松市

静岡県

企画課

2015

37・108

名古屋市

愛知県

市民経済局

2015

要確認

高山市

岐阜県

観光商工部

2016

要確認

郡上市

岐阜県

商工観光部 商工課

2015

13・42・187

塩尻市

長野県

地域創生課

2014

要確認

京都市

京都府

産業観光局 産業振興課

2011・2015

13・37

大阪市

大阪府

計画調整局 統計調査担当

2011・2015・2017・2020

要確認

神戸市

兵庫県

企画調整局 政策課

2000・2005・2011・2015・2020

要確認

豊岡市

兵庫県

経済部

2017

要確認

朝来市

兵庫県

産業振興部 経済振興課

2009・2024

36・108

岡山市

岡山県

統計課

2015

13・50・107

笠岡市

岡山県

商工観光課

2014

要確認

広島市

広島県

統計課

2015

13・38・107

東広島市

広島県

産業担当

2018

要確認

松山市

愛媛県

産業経済部

2012

43

福岡市

福岡県

総務企画局 調査統計課

2000・2005・2011・2015・2020

13・37・107

北九州市

福岡県

政策調整局 政策課

2000・2005・2011(・2020簡易)

13・34・108→12(2020)

熊本市

熊本県

統計情報課

2011・2015

要確認

自治体

都道府県

公開主体

対象年次

部門数

リンク

このほか、環太平洋産業連関分析学会(PAPAIOS)の市町村産業連関表リストには、宮津市・田村市など、ここに載せきれていない事例も登録されています。最新の所在は各自治体の公式サイトで確認するのが確実です。


なぜ「市区町村の表」はこんなに少ないのか

都道府県は全47がそろっているのに、市区町村の表は数えるほどしかありません。背景には、いくつかの構造的な事情があります。

  • データの制約 — 市町村の単位では、産業どうしの取引を捉えるための詳細な統計が十分にそろいません。企業間の取引データは営業上の秘密にも関わり、集めること自体が難しいのです。

  • 作成・按分の難しさ — 小さな地域の表は県の表を割り振って推計しますが、その方法は標準化されておらず、精度の確保に専門的な判断が要ります。

  • 人と予算の不足 — 基礎自治体には表を一から作る統計職員や予算が必ずしもなく、作成は大学や地方シンクタンクへの委託で進むのが一般的です。

  • 共通の手引きが長くなかった — 市町村表の標準的な作成マニュアルが長く存在せず、各地が独自の簡便法で対応してきました(近年は北海道開発局が小地域向けマニュアルを公開するなど整備が進みつつあります)。

つまり、市区町村の表は「役所が単独で作る」より「研究機関や専門家と組んで作る学術的な成果」に近いのが実情です。



補足:「作った痕跡はあるが、公開していない」市町村も多い

実は、「一覧にない=作っていない」ではありません。表が作られた痕跡はあるのに、当の自治体の公式サイトには載っていない、という見えにくい層が4つあります。

  • ① 研究機関が複数市町村ぶんを一括作成 — 最大の隠れ層です。たとえば横須賀市都市政策研究所は神奈川県内 全33市町村の産業連関表を一括作成し、兵庫県立大学は兵庫県内 全41市町を推計しています。つまり神奈川・兵庫は事実上ほぼ全市町村ぶんの表が存在するのに、各自治体のサイトには載っていません(鎌倉・藤沢・小田原・尼崎・明石・宝塚…など)。

  • ② 国の事業・モデル事業で作成 — 北海道開発局の小地域モデル(恵庭市・名寄市)など。表は開発局側の資料にあり、市の独自ページは未整備です。

  • ③ 学術論文・PAPAIOSに痕跡 — 横手市・三島市・周南市・新居浜市など。作成記録はあるが、現行サイトで独自の公開ページを確認できないケースです。

  • ④ 国の全国一律の推計 — 内閣府・経済産業省の地域経済循環分析用データ(RESAS)は、全1,700超の全市町村ぶんの推計を持っています。RESASで誰でも見られますが、これは国の推計であって、自治体が独自に作成・公表した表ではありません。

要するに、産業連関表は「作る主体」と「公開する主体」がずれているのです。だからこそ、自治体が自分の名前で、実態に合った表を持ち・公開していること自体に価値があるといえます。



自分の地域の表を「自力で探す」コツ

  1. e-Statで横断検索する — 政府統計の総合窓口e-Statで、全国表と各県表をまとめて検索・ダウンロードできます。

  2. 「県名+産業連関表」で検索する — 各県の統計主管課(統計課・統計分析課など)のページが上位に出ます。

  3. 過去の年次は「過去の表」リンクから — 県のページには過去年次へのリンクがあることが多いです。

  4. 研究者向けのリンク集を使う — PAPAIOSが全国・都道府県・市町村の表へのリンクを整理しています。

「表はあるが、自分のまちの事業や施策が経済にどう波及するかまでは分からない」という段階のことは、RESASとは?できること・できないことでも整理しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 産業連関表は無料で使えますか?

A. 国・都道府県が公開している表は、いずれも無料で閲覧・ダウンロードできます。多くはExcel形式で、報告書(PDF)が併せて公開されている県もあります。

Q. 最新の年次はいつのものですか?

A. 全国表の最新は令和2年(2020年)表で、5年ごとに作られます。都道府県表は公表のタイミングに差があり、2020年表が出そろう途中の段階です。

Q. 「部門数」が県によって違うのはなぜですか?

A. 同じ表を「13部門」「37部門」「107〜108部門」のように複数の細かさで公開するのが一般的で、県によって用意する分類の種類が異なるためです。

Q. 自分のまちの表がありません。どうすれば?

A. (1)県の表を按分して使う、(2)RESASで全体像をつかむ、(3)地域独自の表を新たに作る、という選択肢があります。小規模・観光特化の地域ほど、独自に作る価値が出てきます。

Q. 公開されている表をそのまま使えば、正確な経済効果が出せますか?

A. 表はあくまで土台で、「前提の置き方」で結果は大きく変わります。とくに自給率を県の値で代用すると地域に残るお金を多めに見積もることがあり、一つの数字で断定せず幅(レンジ)で示すのが誠実な使い方です。



まとめ

  • 産業連関表は4階層に分かれ、広い表ほど整備が手厚く、狭い表ほど数が少ない

  • 全国表は総務省が5年ごとに作成(最新2020年)。47都道府県すべてが公開しているが最新年次に差がある

  • 市区町村の独自表は全国でもごく一部で、多くは研究機関との協働で作られている。「作ったが公開していない」自治体も多い

  • 自分の地域の表は、e-Stat・各県の統計課ページ・PAPAIOSから探せる

  • 公開された表をそのまま使うときは、按分の前提に注意し数字を一点で断定しないことが大切



自分のまちに「合った表」が必要になったら

公開されている表は出発点として非常に有用です。一方で「県の表の按分が実態と合わない」「成果報告で前提まで説明できる根拠がほしい」段階になると、地域の実態に合わせた表が必要になります。私たちGreen Guardianは、全国表の機械的な按分ではなく、経済センサスの個票から地域独自の産業連関表を作成し、数字を幅(レンジ)で示すことを大切にしています。



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執筆者

株式会社Green Guardian。環境(LCA)と地域経済の「見える化」を専門とするコンサルティング会社。代表・小野雄也(博士/環境情報学)。下川町・気仙沼市・海士町ほか全国で産業連関表の作成を支援。岩波新書『地元経済を創りなおす』で紹介された「漏れバケツ理論」をベースに、地域にお金が残る仕組みづくりを支援しています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。各表の最新の公表状況・配布形式・URLは、総務省および各都道府県・各自治体の公式情報をご確認ください。掲載URLは作成時点のものです。

出典:総務省「産業連関表」/経済産業省「地域間産業連関表」/各都道府県・各市区町村の公表資料/政府統計の総合窓口(e-Stat)/環太平洋産業連関分析学会(PAPAIOS)。

 
 
 

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